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​4.夜の郷


私はわかっていた…

古い屋敷の隅でおまえを見つけたその日から

 

いつか、ときが満ちる日を…

 

 

レンソウ…おまえには随分と不自由な思いをさせたな

 

私は、お前のことを恨んでなどいない…

 

恨むなど出来ようものか…

 

ただ、ただ…少し……夜を長く感じるようになった

 

それだけのこと

 

故に、レンソウ…おまえはおまえの思うように

 

それが私の、望みだ

 

 

桜が綺麗だな……はは、そんな顔をするな

何も居なくなりはしない

私はいつでも此処にいる

もう、あの屋敷は残っていないが…

記憶は褪せず残り続けるものだろう?

さあ、長居は無用だ

時期、夜が明ける

目を醒ませば全ての柵は消え去った後

友よ、さらばだ

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