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​6.三浦くんの気持ち

-掃除の時間、裏庭-

 


笠原くんとしゃべった・・・

すごい、すごく・・・嬉しい。

まさか向こうから話しかけてもらえるなんて・・・

僕、ちゃんと話せてたかな?
変なこと口走らなかったよね・・・

うぅ・・・お昼休みから緊張の連続で・・・自分が何話したかあんまり覚えてないや。

でも、笠原くんや南くん・・・滝くんのくれた言葉は覚えてる。

今日はなんて嬉しい日だろう。
奇跡のような一日だ。

一生分の運を使い果たしちゃってたりして・・・


おはぎ「にゃぁ・・・」

 三浦「あっ、おはぎ。そんなところにいたんだね。おいで」


物置小屋の裏からおはぎがひょこっと顔を覗かせたので、
ポケットからネコ用のおはぎを取り出してみせる。

すると、すぐにおはぎがおはぎを求めて寄ってきた。


 三浦「よしよし、美味しいかい?」

おはぎ「にゃぁん♪」

 三浦「ふふふっ…ねえ、おはぎ。友達がいるってこんな感じなのかなぁ・・・」

おはぎ「にゃあ?」

 三浦「今日ね、クラスの人達とバスケしたんだ。

     誘われてね、行くかすごく迷ったんだけど…勇気出して行ってみて良かったなぁ。

     まるで、世界がひっくり返ったみたいだよ。」

おはぎ「(頭をすりよせてくる)」

 三浦「ふふっ、おまえも喜んでくれるのかい?」

おはぎ「にゃぁ~・・・」

 三浦「『またね』って、『次は』…って、言ってもらえたんだ。

    彼らにとっては何気ない言葉だとしても、僕にとっては特別な言葉で・・・

    もし、本当に次があるなら今度はもっと沢山話したいなぁ。」


笠原くんとは校内新聞の話、滝くんとはバスケの話、
南くんとは…話したいことが多すぎてまとまらないな・・・

迷惑だと、思われないかな・・・?

いや、彼らはそんな風に思う人達じゃない。


おはぎは満足したのか、僕の手をすり抜け、しっぽを揺らしながら元来た方へ戻っていく。

僕は、今度は自分から話しかける努力をしようと笑顔の練習に励みつつ、

裏庭の花壇の手入れにいっそう力を入れた。

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