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​双子の神

肆.神として守りたいもの

涼音「風鈴!!…やめろ!!」

(襲いかかった祓い屋の前に涼音が飛び出してくる)

風鈴「涼音!?どけっ!!あぶな…っ!!」

?「琥珀さん!」

琥珀「ほんに人使いの荒い奴よのぅ!」

(もうダメだと目を瞑った瞬間、瞼の裏に閃光が走る)



涼音「…ふうりっ!!風鈴!!!」

風鈴「……ん…?」

涼音「風鈴!…良かった!!」

風鈴「涼音……僕…」

琥珀「まったく…煩わせおって…!早とちりも良いところじゃ!」

?「琥珀さん。元はといえば驚かせてしまった僕のせいなんですから…

  すみません、氏神様。お怪我はないですか?」

風鈴「ああ…僕の方こそ悪かった。突然、襲いかかったりして…」

?「いいんですよ。…自己紹介が遅れてしまいましたが、僕は千里影近と申します。

  ご存知の通り、隣町で祓い屋の仕事を請け負っています。」

涼音「祓い屋…」

風鈴「僕達を祓いに来たんじゃないのか…?」

琥珀「たわけっ!その逆じゃ!」

影近「琥珀さん…。僕は祓い屋の前に神職者でして、

   廃神社に取り残されてしまった神様を新しい神社へお迎えするためにここへ来たんです。」

涼音「新しい神社…?私達はここを離れる気は……」

影近「この町を守りたいんですよね?」



そう言って影近と名乗る男は柔和な笑みを浮かべた。
着物の帯紐にさげられた金色の鈴が、涼やかな音色を奏でる。

僕と涼音は顔を見合わせて、同じように首を傾げた。


 

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