
Far-off Voice
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3.三浦くんとバスケットボール
【前回までのあらすじ】
あ、どうも・・・三浦瑛斗です。あ・・・えと、あらすじ、ですよね?
・・・お恥ずかしい話、俺は極度の人見知りで高校2年になった今も学校に友達が一人もいません。
唯一友達と呼べる存在と言ったら愛犬のワトソンだけで・・・
学校での楽しみと言ったら花壇の手入れと読書くらいだったんですけど・・・
ある日・・・く、クラスの人気者で密かに憧れてた堀川南くんに
昼休み一緒にバスケしようって誘ってもらえたんです・・・!
誘ってもらえた、んですけど…あまりの唐突さに驚いて・・・つい、断っちゃって・・・・・・
後からでも来いよって言ってもらえたので勇気を出して来てみたはいいものの・・・はぁ・・・
瑛斗:(ど、どうしよう・・・!なんて話しかける・・・?
「遅くなってごめん!」・・・とか?いやいやいや・・・ここから見てるだけで精一杯だよ・・・)
体育館の入口でひとりあたふたしていると、俺に気付いた南くんが手を振りながら駆け寄ってきた。
南:三浦!!来てくれたんだ!?
瑛斗:え!?あ、はい・・・
南:用事、済んだのか?
瑛斗:い、意外に早く済んじゃって・・・
南:よっしゃ!おーい!救世主三浦来たからもう一戦な!
南くんの一言で、皆の珍しいものを見るような視線が突き刺さる。
なんだかいたたまれない気持ちになってきた・・・
瑛斗:あの・・・俺やっぱり・・・・・・
南:三浦は俺のチームな!
帰るよ、と言いかけた俺の言葉に被せて南くんがニッカリと笑った。
瑛斗:え・・・あの・・・・・・
戸惑う俺をよそに南くんはコートの方に走って行ってしまう。
肩をポンっと叩かれて振り返ると、滝くんが親指を立ててこくりと頷いた。
諦めろ、ということだろうか・・・
背の高い滝くんを見上げて、俺も小さく頷き返した。
瑛斗:が、頑張ります・・・
渡されたビブスは23番で、4番のビブスを着た南くんがニヤリと笑う。
南:23が誰の番号か知ってるか?
瑛斗:誰のって・・・えっと・・・俺、バスケ部のスタメン知らないんだ・・・ごめん。
答えられずに俯くと、頭の上から愉快そうな笑い声が降ってくる。
顔を上げると、南くんが「おまえ面白いな」と言って俺にボールを投げた。
南:バスケ部員でもないのにスタメン知ってる奴ってどれくらいいるんだろうな?ww
瑛斗:あっ・・・
笑われていた意味をようやく理解して確かに・・・と納得する。
南:さ、行くぞ!三浦、楽しもうぜ!
瑛斗:み、ほりかわく…
「さっきの答えは?」と尋ねようとした俺に、得点板の傍にいる河合くんが手を振って合図した。
自分がボールを持っていたことを思い出して慌ててボールを渡しに行くと「がんばれ!」と声をかけられた。
ぎこちなく会釈して、コートの端の目立たないポジションを目指す。
コートの真ん中で滝くんと田中くんがジャンプボールの瞬間を待っていた。
河合くんの合図とともにボールは高く舞い上がり、
男たちのジュースをかけたラストバトルは幕をあげたのだった・・・
つづく…